サンプル公開:たなか鮎子「閉館十五分前」 

小さな物語集「6/0 – 六つの無限空間」のサンプルページ公開、第四弾をお届けします。

本誌のカバー&本文イラストレーションも手がけた、たなか鮎子さんの作品。絵本作家としても活動していらっしゃるたなかさんですが、今回は「子どもの本」とは違ったテリトリーに挑戦。三話の根津さんと同じく、初の書き下ろし短編小説です。

閉館前の図書館の一室での不思議な出会い。主人公は、生まれ変わった恋人の姿に何を見るのでしょうか。

作家のコメントとともに、ぜひお楽しみ下さい。

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たなか鮎子「閉館十五分前」
試し読みPDF
※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)

◇「閉館十五分前」 たなか鮎子

図書館という場所が好きで、見かけると入ってしまいます。人間の思念や想像力が遊んでいる空間にいるのが、好きだからかもしれません。

今住んでいるベルリンには、ヴィム・ヴェンダースの映画「ベルリン天使の詩」に出てきた州立図書館があるのですが、初めて中に入った時、そのまま年会員登録してしまいました。

図書館にたくさんの天使を登場させたヴェンダース監督の気持ち、よくわかります。どちらも人間の思念が作り出した存在だからでしょうか、相性が良いのです。

絵の力を借りずにお話を書いたのは初めてでしたが、人の心の空間のドアを、コンコン、と直接たたくことができるのが、文章表現のすばらしいところなのだな、としみじみ実感しました。
つたないながらも、言葉の力を借りながら、図書館の書庫のようなひそかな空間を覗くような感覚をこれからも書いていきたいと思っています。

たなか鮎子「閉館十五分前」
試し読みPDF
※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)