Monthly Archives: September 2017

サンプル公開:たなか鮎子「閉館十五分前」 

小さな物語集「6/0 – 六つの無限空間」のサンプルページ公開、第四弾をお届けします。

本誌のカバー&本文イラストレーションも手がけた、たなか鮎子さんの作品。絵本作家としても活動していらっしゃるたなかさんですが、今回は「子どもの本」とは違ったテリトリーに挑戦。三話の根津さんと同じく、初の書き下ろし短編小説です。

閉館前の図書館の一室での不思議な出会い。主人公は、生まれ変わった恋人の姿に何を見るのでしょうか。

作家のコメントとともに、ぜひお楽しみ下さい。

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たなか鮎子「閉館十五分前」
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※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)

◇「閉館十五分前」 たなか鮎子

図書館という場所が好きで、見かけると入ってしまいます。人間の思念や想像力が遊んでいる空間にいるのが、好きだからかもしれません。

今住んでいるベルリンには、ヴィム・ヴェンダースの映画「ベルリン天使の詩」に出てきた州立図書館があるのですが、初めて中に入った時、そのまま年会員登録してしまいました。

図書館にたくさんの天使を登場させたヴェンダース監督の気持ち、よくわかります。どちらも人間の思念が作り出した存在だからでしょうか、相性が良いのです。

絵の力を借りずにお話を書いたのは初めてでしたが、人の心の空間のドアを、コンコン、と直接たたくことができるのが、文章表現のすばらしいところなのだな、としみじみ実感しました。
つたないながらも、言葉の力を借りながら、図書館の書庫のようなひそかな空間を覗くような感覚をこれからも書いていきたいと思っています。

たなか鮎子「閉館十五分前」
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※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)

サンプル公開:根津弥生「カフェバー伝書鳩」 

小さな物語集「6/0 – 六つの無限空間」のサンプルページ公開、第三弾です。
二話目の古川さんに続き、長年舞台の世界で役者として活動してこられた根津さんの、初の書き下ろし短編小説です。

不思議な空間で次々展開する小さな人間ドラマと、それを淡々とした目で眺めていた主人公自身の心の葛藤。舞台という空間を知り尽くしたクリエイター独特のユニークで斬新な視点を、お楽しみ下さい。

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「カフェバー伝書鳩」 根津弥生
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※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)

根津さんの寄せてくださったメッセージはこちら。

「カフェバー伝書鳩」 根津弥生

小説を書きました。
人に読んでもらうことを前提として書いたのは、初めて。

それはまだいいとして、活躍中の作家の皆さんと肩を並べての一冊になった。
印刷はすでに完了。間もなく届くようだ。
とても恐ろしい。
どう形容していいのか分からない未知の種類と規模の恐怖、に襲われています。


「カフェバー伝書鳩」 根津弥生

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※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)

サンプル公開:古川大輔「海の底から、さようなら」

小さな物語集「6/0 – 六つの無限空間」のサンプルページ公開。
二話目は、東日本大震災を題材にした書き下ろしの戯曲です。

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古川大輔「海の底から、さようなら」
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※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)

この物語の作家・古川大輔さんは、劇団「机上風景」の主宰として、心に強い印象を残す物語を数多く作ってこられました。今回の作品も、海の底からメッセージを送る主人公の静かなモノローグが、心を打ちます。

古川さんの寄せてくださったメッセージはこちら。

◇「海の底から、さようなら」 古川大輔

東日本大震災で亡くなられた方々へ。この戯曲がほんの少しでも弔いになれば幸いです。

古川大輔「海の底から、さようなら」
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※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)

 

サンプル公開:かんのゆうこ「木曜館にて」

小さな物語集「6/0 – 六つの無限空間」の中身を少し覗いてみたい…という声にお答えして、今週より、各話のサンプルページを順々に公開いたします。

一話目は、かんのゆうこ「木曜館にて」。
作家ご本人のコメントとともに、静謐なファンタジーの世界をお楽しみください。

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かんのゆうこ「木曜館にて」
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※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)

『木曜館にて』 かんのゆうこ

「 « Ce qui embellit le désert, dit le petit prince, c’est qu’il cache un puits quelque part… »
(王子さまが言った。『砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……』)(『Le petit prince』より)

地上に見えている大きな樹は、土の下にある見えない根に支えられているように、目に見える世界(外的世界)は、見えない世界(内的世界)によって支えられている気がします。

『星の王子さま』や『夜間飛行』、『人間の大地』などの著者であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリも、「目には見えないもの」の大切さに生涯こだわり続けた作家と言えるでしょう。
今回書いた『木曜館にて』という掌編は、私の短編連作集『とびらの向こうに』(岩崎書店)の中に収録されている『木曜館』のスピンオフになります。作中ではオマージュを込めて童話『星の王子さま』をモチーフとして使いました。

この物語が、胸の奥でひっそりと輝いている「見えない井戸」 を思い出すひとつのきっかけになれば、うれしい限りです。」

かんのゆうこ「木曜館にて」
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※見開き、最初の6ページ(タイトル、イラスト+本文1ページ目、本文2−3ページ目)