『6/0 六つの無限空間』作家コメントご紹介します

ZINE Week、いよいよ明日よりスタートです!

『6/0 六つの無限空間』。
無事納品も終わり、皆さんの目に触れる瞬間を待つばかりです。

ここで、六人の作家より、作品にまつわるお話やメッセージが集まりましたのでご紹介いたします。それぞれがどのような作品なのか、さらに気になってくるコメントです。本と合わせて、どうぞお楽しみください。

『6/0 六つの無限空間』作家からのコメント

◇「木曜館にて」 かんのゆうこ

« Ce qui embellit le désert, dit le petit prince, c’est qu’il cache un puits quelque part… »
(王子さまが言った。『砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……』)(『Le petit prince』より)

地上に見えている大きな樹は、土の下にある見えない根に支えられているように、目に見える世界(外的世界)は、見えない世界(内的世界)によって支えられている気がします。

『星の王子さま』や『夜間飛行』、『人間の大地』などの著者であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリも、「目には見えないもの」の大切さに生涯こだわり続けた作家と言えるでしょう。
今回書いた『木曜館にて』という掌編は、私の短編連作集『とびらの向こうに』(岩崎書店)の中に収録されている『木曜館』のスピンオフになります。作中ではオマージュを込めて童話『星の王子さま』をモチーフとして使いました。

この物語が、胸の奥でひっそりと輝いている「見えない井戸」 を思い出すひとつのきっかけになれば、うれしい限りです。

◇「海の底から、さようなら」 古川大輔

東日本大震災で亡くなられた方々へ。この戯曲がほんの少しでも弔いになれば幸いです。

◇「カフェバー伝書鳩」 根津弥生

小説を書きました。
人に読んでもらうことを前提として書いたのは、初めて。

それはまだいいとして、活躍中の作家の皆さんと肩を並べての一冊になった。
印刷はすでに完了。間もなく届くようだ。
とても恐ろしい。
どう形容していいのか分からない未知の種類と規模の恐怖、に襲われています。

ZINE「6/0」見開きページ

◇「閉館十五分前」 たなか鮎子

図書館という場所が好きで、見かけると入ってしまいます。人間の思念や想像力が遊んでいる空間にいるのが、好きだからかもしれません。

今住んでいるベルリンには、ヴィム・ヴェンダースの映画「ベルリン天使の詩」に出てきた州立図書館があるのですが、初めて中に入った時、そのまま年会員登録してしまいました。

図書館にたくさんの天使を登場させたヴェンダース監督の気持ち、よくわかります。どちらも人間の思念が作り出した存在だからでしょうか、相性が良いのです。

絵の力を借りずにお話を書いたのは初めてでしたが、人の心の空間のドアを、コンコン、と直接たたくことができるのが、文章表現のすばらしいところなのだな、としみじみ実感しました。
つたないながらも、言葉の力を借りながら、図書館の書庫のようなひそかな空間を覗くような感覚をこれからも書いていきたいと思っています。

◇「ジョージア」 太田衣緒

恥ずかしながら、「ZINE」という言葉を初めて聞いた。
たなかさんから説明や見本を見せて頂いたけれど、ハッキリ言って出来上がった物を見るまで謎に包まれている。
ですから、私自身、完成をとても楽しみにしています。

今回書かせて頂いた物語は、数年前に上演した「善良な戦士」という芝居のある部分を書き直し、再構築したものです。
芝居の中で缶コーヒーを飲んでいるのですが、
そう言えば、「差し入れ何が良い?」と聞かれ、「ジョージアの無糖と微糖と加糖をケースでお願いします」と言った。
私の調べが甘かったのかもしれないが、当時、無糖と微糖と加糖の三拍子が揃っているのはジョージアだけだったから。
そして稽古から本番まで、毎日ジョージアを飲んでいた。
何故か演出の私まで。

◇「ジョンソン博士の猫(Dr.Johnson’s Cat)」 クリスティアン アルザッティ(Cristian Alzati)

サミュエル・ジョンソン博士は、初の包括的な英語辞書の著者として知られる人物です。そして、飼っていた猫のホッジを可愛がっていたことでも有名です。ホッジと博士の仲はあまりに有名で、今も博士の家のあったロンドンのガウ広場には、ホッジの銅像が立っているくらいです。

ジョンソン博士の著作のファンだったこと、また、私たちが当たり前のように親しんでいる”文学”というものの存在しない世界を寓話として描いてみたい……という思いをずっと持っていました。「猫語というひとつの言語による新しい世界」という発想は、昨今広がりつつあるグローバリズムと、それが文化や伝統に与える影響を比喩的に表現しています。

こんな不思議な状況にもかかわらず、我らがジョンソンは、猫の肉球による文字がすべての文化を統合できる!という信念を持てるほどの、楽観的な人物だったりします。そう簡単に、事は運ぶのでしょうか。どうぞ博士の冒険をお楽しみ下さい!

 

『ZINE Week』詳細はこちら

2017/4/18(火)~ 4/23(日)
12:00~19:00 (最終日17:00まで)

gallery DAZZLE
〒107-0061 東京都港区北青山2-12-20 #101

ギャラリーDAZZLEサイト詳細はこちら

展覧会情報も、またUPしていきたいと思います。
お楽しみに。

ZINE「6/0」表紙